単身世帯の増加に伴い、入院時の身元保証や、亡くなった後の葬儀・片付けといった「もしもの時」への不安を抱える方が増えています。
こうした課題に対し、2024年度から一部の自治体で「身寄りのない高齢者等の生活課題に対応するためのモデル事業」が本格化しています。
今回は、4つの自治体の取り組みと、利用前に知っておきたいポイントをまとめました。
1. 先進自治体の具体的な取り組み事例
各自治体では、社会福祉協議会や専門職団体と連携し、生前から死後までを網羅するサービスを提供しています。
| 自治体名 | 事業名 | 特徴的な支援内容 |
| 東京都文京区 | 文京ユアストーリー事業 | 法律家と連携。入院手続きから金銭管理、死後事務まで包括的にサポート。 |
| 神奈川県川崎市 | 未来あんしんサポート事業 | 定期的な見守り訪問に加え、有償で通帳の預かりや通院同行にも対応。 |
| 京都府京都市 | 単身高齢者万一あんしんサービス | 低所得世帯向けに死後事務を支援。2025年4月から持ち家居住者も対象拡大。 |
| 福岡県福岡市 | ずーっとあんしん安らか事業 | 預託金の範囲内で葬儀や公共料金清算を代行。契約後の安否確認もセット。 |
2. 自治体モデル事業を利用するメリット
- 高い信頼性と透明性自治体や社会福祉協議会が窓口となるため、民間サービスに比べて倒産や詐欺のリスクが極めて低く、安心して契約できます。
- 低コストでの運用営利目的ではないため、管理費や手数料が抑えられているケースが多く、低所得の方でも利用しやすい設計になっています。
- 「生前」から「死後」までの一貫性単なる葬儀の代行だけでなく、生前の見守りや入院時の相談など、元気なうちから関係を築けるのが大きな強みです。
3. 知っておきたいデメリットと注意点
非常に心強い事業ですが、検討する際には以下の点に注意が必要です。
- 対象者(要件)の制限「所得制限がある」「身寄りが全くいないことが条件」「その自治体に居住している」など、利用できる人が限られている場合があります。
- サービス範囲の限界公的な事業であるため、高額な葬儀や特殊な遺品整理など、個別の細かいこだわり(わがまま)には対応しきれないことがあります。
- 「預託金」の準備が必要葬儀費用や残置物処理のための費用(数十万円単位)を、事前に「預託金」として預け入れる必要があるケースが大半です。完全無料ではありません。
- 実施自治体がまだ限定的2024年時点ではあくまで「モデル事業」であり、全ての自治体で実施されているわけではありません。お住まいの地域で実施されているか確認が必要です。
まとめ:自分らしい最期のために
自治体のモデル事業は、身寄りのない高齢者にとって「地域が家族の代わりを担ってくれる」画期的な仕組みです。
「自分の住んでいる街ではどうなっているの?」
「民間サービスと何が違うの?」
と気になった方は、まずは地域の「地域包括支援センター」や「社会福祉協議会」へ相談してみることをおすすめします。早めに準備を始めることが、これからの安心した生活に繋がります。

