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競売物件の強制執行費用を劇的に抑える「即日引渡断行」とは?実務の裏側と成功のポイント

競売で落札した物件の占有者(元所有者)との明渡し交渉が決裂し、引渡命令に基づく強制執行を申立された買受人の方からのご相談案件例です。

対象物件は都内にある延床面積約120平米の一戸建て。現地調査を行ったところ、室内には家財道具等の残置物があるものの、電気・ガス等のライフラインは停止しており、生活実態(起居の気配)は認められませんでした。

結論から申し上げますと、このケースでは裁判所への予納金を除き、実費10万円未満で強制執行手続きを完了させることができました! 通常であれば、50万円超~100万円程度の強制執行費用が必要となる可能性がありました。 なぜなら……、
いわゆる「即日引渡断行(即断)」が成立したためです。

通常の強制執行と「即日引渡断行」の違い

通常の建物明渡強制執行では、手続きが二段階に分かれます。

  • 通常の流れ(催告→断行)申立後、執行官と現地へ赴いて退去を促す「明渡しの催告」を実施し、約1ヶ月の明渡期限を定めます。期限内に自発的な退去がなければ、作業員を動員して荷物を運び出す「断行」を行います。
  • 即日引渡断行(即断)現地調査・催告の当日に「催告」のプロセスを省略し、その場で引渡断行まで一気に完了させる手続きです。建物の占有解除だけでなく、室内に残された遺留品の売却(即時売却)まで当日中に成立させます。

即日引渡断行が認められる要件 どのような物件でも即日断行できるわけではありません。執行官の裁量判断に基づきますが、主に以下の要件を立証・陳述する必要があります。

  • ライフライン(電気・水道・ガス等)の使用停止等が確認できること
  • 郵便物の滞留や室内の状況から、債務者が既に起居しておらず「不在」であることが明白であること
  • 債権者(申立人)側からの事情聴取・陳述等で、居住実態がない状況が裏付けられていること

残置された遺留品については、現場で執行官による評価を受け、実務上は3000円未満の価値として扱われます。その場で申立人が買い取る形式(申立時の予納金から相殺処理されるため、現場での現金決済は不要)を取り、法的な処分権を確定させます。

買受人における圧倒的なメリット

  • 時間の大幅短縮:通常の猶予期間(1ヶ月以内)を待たずに、当日からリフォームや再販などの次の工程へ着手できます。
  • 執行費用の大幅削減:通常の断行で発生する作業員の人件費、トラック運搬費、保管倉庫代が一切発生しません。発生する費用は、執行官・立会人の法定日当のほか、現場対応した執行補助者および鍵屋(解錠技術者)の日当程度(都内近郊でおおむね各2万〜5万円)に抑えられます。

なぜ「即日引渡断行」は広く活用されていないのか?

債権者にとって極めて合理的であるにもかかわらず、この方法が一般に広がらず積極的に提案されない背景には、実は執行補助業界の収益構造が関係しています。

大規模な断行作業(作業員数10名の動員、トラック手配、倉庫保管費など)を行わなければ、執行補助業者側の売上・利益が伸びないためです。中には、即時引渡断行の余地がある現場であっても、あえて通常の断行手続きへ誘導しようとする業者も存在します(というか……大半がそうですが)。

債権者目線に立った適正な明渡し支援

当社では、自ら競落人・買受人として現場に対峙してきた実務経験に基づき、常に「債権者の費用・時間的負担を最小化する手続き」を第一に選択しがちだったりします。

物件の状況によっては、即日断行が難しい場合でもトラック代や外部倉庫代をカットする「現場保管」など、コストを抑制する手法は複数存在します。弊社は積極的に一般の方からの案件はお受けしていないのですが、明渡し交渉や強制執行でお悩みの際は、早期の段階でご相談ください。