人生の終末期や万が一の時に備え、自分の希望や情報を書き記しておくエンディングノートは、残された家族への大切なメッセージとなります。近年、その重要性が認識され、様々な種類のエンディングノートが販売されています。しかし、いざ選ぼうと思っても、何を選べば良いのか迷ってしまう方も少なくありません。
ここでは、エンディングノートを選ぶ際のポイントと、おすすめのエンディングノート、そして近年注目されている差し替え式のエンディングノートの利便性について詳しく解説します。
エンディングノート選びの3つのポイント
エンディングノートを選ぶ際には、以下の3つのポイントを考慮することが大切です。
- 書きたい内容を明確にする: まず、エンディングノートに何を書きたいのかを具体的に考えましょう。財産に関する情報、医療や介護の希望、葬儀や埋葬に関する希望、大切な人へのメッセージなど、人によって書きたい内容は異なります。自分のニーズに合った項目が用意されているか、自由に書き込めるスペースがあるかなどを確認しましょう。
- 使いやすさを重視する: エンディングノートは、一度書いたら終わりではありません。必要に応じて書き足したり、修正したりする可能性があります。そのため、使いやすい形式であることは非常に重要です。
- ページの構成: 項目が見やすく整理されているか、書き込みやすいレイアウトになっているかを確認しましょう。
- 紙質: 長期保存に適した丈夫な紙が使われているか、書き心地の良い紙質であるかもポイントです。
- サイズ・形状: 自宅での保管や持ち運びやすさを考慮し、適切なサイズと形状を選びましょう。
- 保管方法: 個人情報も含むため、鍵付きの保管ケースやファイルなどが付属していると安心です。
- 将来の変化に対応できるか: 人生は常に変化していくものです。連絡先が変わったり、希望する葬儀の形式が変わったりする可能性もあります。そのため、将来的な情報の変更や追加に対応できるかどうかも重要なポイントです。
タイプ別おすすめエンディングノート
様々な種類のエンディングノートがある中で、ここでは代表的なタイプと、それぞれのメリット・デメリット、そしておすすめのエンディングノートをご紹介します。
1. 市販のノートタイプ
書店や文具店、オンラインショップなどで手軽に購入できるノートタイプのエンディングノートです。
- メリット: 価格が手頃で、デザインやサイズが豊富。自由に書き込めるスペースが多いものもあります。
- デメリット: 項目が固定されている場合があり、自分のニーズに合わない可能性がある。修正や追記がしにくい場合がある。
- おすすめ:
- コクヨ「もしもの時に役立つノート」: シンプルで使いやすいレイアウト。医療や介護、葬儀、相続など、必要な項目が網羅されています。
- リベラル社「一番わかりやすいエンディングノート」:項目厳選、順番に書くだけで完成する、分かりやすさが特長です。
2. セミナー・ワークショップ参加者向けエンディングノート
エンディングノートに関するセミナーやワークショップに参加した際に配布されることが多いノートです。
- メリット: 専門家のアドバイスを受けながら、自分の考えを整理して書き込める。
- デメリット: 入手機会が限られる。
- おすすめ: 各セミナーやワークショップによって内容や形式が異なるため、興味のあるテーマのセミナーを探してみるのが良いでしょう。
3. デジタルエンディングノート
パソコンやスマートフォン、タブレットなどで情報を管理するデジタル形式のエンディングノートです。
- メリット: 情報の修正や追記が容易。写真や動画などのデータも保存できる場合がある。パスワード管理機能などでセキュリティが高い場合も。
- デメリット: デジタル機器の操作に慣れていないと使いにくい。機器の故障やサービスの終了により、情報が失われるリスクがある。
- おすすめ:
- メッセージバンク: クラウド上で情報を管理でき、家族と共有することも可能です。
- Evernote、Google Keepなどのメモアプリ: 自由度が高く、テキストだけでなく画像や音声も記録できます。ただし、セキュリティ対策は自己責任となります。
4. 差し替え式エンディングノート
近年注目を集めているのが、差し替え式のエンディングノートです。これは、バインダー形式になっており、必要な項目だけを選んでファイルしたり、後からページの順番を入れ替えたり、不要になったページを削除したりすることができます。
特定非営利活動法人「成年後見推進ネットこれから」が頒布している1冊500円の「これからノート」は差し替え式で、記載項目もよく考えられています。一般社団法人ねりま終活身元保証センターでは、このエンディングノートの利用を推奨しています。

差し替え式のメリット
- カスタマイズ性の高さ: 自分の書きたい項目だけを選んで使えるため、無駄なページがありません。市販のルーズリーフやリフィルを活用できる場合もあり、自由度が高いのが魅力です。
- 情報の整理・更新の容易さ: ページの追加や削除、並べ替えが簡単に行えるため、情報の整理や更新がスムーズです。ライフスタイルの変化や考え方の変化に合わせて、柔軟に対応できます。
- 家族との共有のしやすさ: 必要に応じて特定のページだけを家族に見せたり、コピーして共有したりすることができます。
- 長期的な利用: バインダー本体を長く使えるため、経済的です。
差し替え式のデメリット
- 保管場所: ノートタイプに比べて、バインダー形式のため、やや保管場所を取る場合があります。
- 持ち運び: コンパクトなノートタイプに比べると、持ち運びには不向きな場合があります。
- リフィルの種類: 市販のリフィルの種類によっては、自分のニーズに完全に合わない場合もあります。
おすすめの差し替え式エンディングノート
- 無印良品「ポリプロピレンバインダー」とルーズリーフ: シンプルで丈夫なバインダーと、豊富な種類のルーズリーフを組み合わせて、自分だけのエンディングノートを作成できます。
- 市販のエンディングノート用バインダー: 各社から、エンディングノート専用のバインダーとリフィルが販売されています。項目が充実しており、使いやすいように工夫されています。
- 自治体の無料エンディングノートを差し替え式にする方法: 当グループ所在地の練馬区では、「私の生き方ノート」というエンディングノートを無償で頒布しています。また、PDF版も公開されているため、それを自分で印刷してA4サイズのファイリングノートに入れれば、手軽に差し替え式のエンディングノートとして活用できます。PDF版は各種団体や自治体などから発行されているので、お気に入りのものを探すのもいいかもしれません。
- 杉並区「わたしのエンディングノート」
- 足立区「じぶんノート」
- 狛江市「これからも まえむきに えがおで」
- 立川市「大切な方への絆ノート」
- 調布市「じぶんノート」 ワード版
- 日野市「わたしの思いをつなぐエンディングノート」
- 府中市「未来ノート」
- 三鷹市「わたしの覚え書きノート」
- 武蔵野市「マイエンディングノート」
まとめ:自分にとって最適なエンディングノートを選ぼう
エンディングノートは、自分の人生を振り返り、大切な人への想いを伝えるための貴重なツールです。様々な種類がありますが、最も大切なのは「自分が使いやすい」と感じるものを選ぶことです。
今回ご紹介した選び方のポイントや、それぞれのエンディングノートの特徴を参考に、ご自身のニーズに合ったエンディングノートを見つけて、ぜひ書き始めてみてください。差し替え式のエンディングノートは、その柔軟性とカスタマイズ性の高さから、多くの方にとって使いやすい選択肢となるでしょう。
エンディングノートを書くことは、未来の自分と大切な家族への贈り物です。焦らず、じっくりと向き合いながら、自分らしいエンディングノートを作り上げていきましょう。