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【もしもの時に備える安心】委任契約、死後事務委任契約、遺言執行契約、任意後見契約をやさしく解説

年齢を重ねるとともに、様々な不安も出てくるものです。「もし自分が病気になったら?」「判断能力が衰えてしまったら?」「亡くなった後の手続きはどうなるの?」そんな不安を解消し、安心してこれからの人生を送るための一つの方法が、「契約」を結んでおくことです。難しそうに聞こえるかもしれませんが、実は、あなたの「困った」を助けてくれる心強い味方になってくれるのです。

ここでは、「委任契約」「死後事務委任契約」「遺言執行契約」「任意後見契約」という終活に欠かせない4つの大切な契約について、一つひとつ丁寧に解説していきます。

1. 誰かに「お願い!」をする契約 ~委任契約~

「委任契約(いにんけいやく)」とは、簡単に言うと、「あることを誰かに頼んでやってもらう」という約束のことです。日常生活の中で、ちょっとしたお願い事を誰かにするのと同じイメージです。

たとえば、

  • 「銀行で私の代わりに預金を引き出してきてほしい」
  • 「入院中のペットの世話をお願いしたい」
  • 「家の庭の草むしりをしてほしい」

といったお願いを、信頼できる家族や友人、弁護士や行政書士などの専門家にお願いする際に結ぶのが委任契約です。

委任契約のポイント

  • 頼めること: 日常的なことから、専門的なことまで、様々なことをお願いできます。
  • 相手: 親族、友人、専門家など、信頼できる人を選べます。
  • 期間: お願いする期間を決められますし、特に定めなくても構いません。
  • 費用: 家族や友人であれば無償でお願いすることもできますが、内容によっては費用が発生することもあります。

委任契約はこんな時に役立ちます

  • 病気やケガで一時的に動けなくなった時
  • 遠方に住んでいて、自分ではできない手続きがある時
  • 専門的な知識が必要な手続きを代わりに行ってもらいたい時

委任契約は、あなたの「困った」をサポートしてくれる、身近で頼りになる契約と言えるでしょう。

2. 亡くなった後のことを託す安心 ~死後事務委任契約~

「死後事務委任契約(しごじむいにんけいやく)」とは、あなたが亡くなった後の様々な手続きを、生前に信頼できる人に頼んでおく約束のことです。

人生の終末期は、自分のことだけでなく、亡くなった後のことも心配になるものです。葬儀のこと、お墓のこと、遺品整理のことなど、残された家族に負担をかけたくない、自分の希望通りに してもらいたいと考える方も多いでしょう。

死後事務委任契約を結んでおけば、あなたが亡くなった後、あなたが指定した人が、あなたの代わりに様々な手続きを行ってくれます。

死後事務委任契約で頼めること(例)

  • 葬儀や納骨に関する手続き
  • 関係者への連絡
  • 遺品整理
  • 行政機関への届け出
  • 公共料金の支払い
  • 賃貸契約やクレジットカード、各種契約の解約

死後事務委任契約のポイント

  • 安心: 亡くなった後のことを自分で決めておけるので、安心できます。
  • 負担軽減: 残された家族の負担を減らすことができます。
  • 希望実現: 自分の希望する形で 終わりを迎えることができます。
  • 相手: 親族、友人、弁護士、行政書士、専門の事業者などを選べます。

死後事務委任契約を結ぶ際の注意点

  • 契約内容を明確にしておくことが大切です。
  • 費用についても事前にしっかりと話し合っておきましょう。
  • 信頼できる相手を選ぶことが最も重要です。

死後事務委任契約は、あなたが安心して人生の 終わりを迎えるための、大切な準備と言えるでしょう。

3. 遺言の内容を確実に実現する ~遺言執行契約~

「遺言執行契約(ゆいごんしっこうけいやく、いごんしっこうけいやく)」とは、あなたが作成した遺言書の内容を、あなたの代わりに実現してくれる人(遺言執行者)を指定し、その人に遺言の執行を託す約束のことです。

遺言書は、あなたの最後の意思を伝える大切な手段ですが、法的な手続きが必要な場合が多く、相続人だけでスムーズに進められないこともあります。そこで、遺言執行者を指定しておくと、遺言書の内容に沿って、財産の分配や名義変更などの手続きを、専門家が責任を持って行ってくれます

遺言執行者が行うこと(例)

  • 相続人の調査と確定
  • 遺産の調査と評価
  • 遺言書の記載内容に沿った財産の分配
  • 不動産や預貯金の名義変更
  • 相続に関する紛争の解決

遺言執行契約のポイント

  • 確実性: 遺言書の内容が確実に実行される可能性が高まります。
  • スムーズな手続き: 複雑な相続手続きを専門家が代行してくれるので、相続人の負担が軽減されます。
  • 紛争予防: 相続人間で意見の対立が起きた場合でも、中立的な立場で解決をサポートしてくれます。
  • 相手: 弁護士や行政書士などの専門家が一般的です。

遺言執行契約を結ぶ際の注意点

  • 遺言書の作成と合わせて検討することが重要です。
  • 遺言執行者への報酬が発生します。事前に確認しておきましょう。
  • 信頼できる専門家を選ぶことが大切です。

遺言執行契約は、あなたの想いを確実に次世代へ繋ぐための、重要な備えと言えるでしょう。

4. 判断能力が低下した時の安心 ~任意後見契約~

「任意後見契約(にんいこうけんけいやく)」とは、将来、もしあなたが認知症などで判断能力が不十分になった場合に、あなたの代わりに財産管理や身上監護(介護や医療に関する手続きなど)を行ってくれる人(任意後見人)を、あらかじめ自分で決めておく契約のことです。

人は誰でも、いつ判断能力が低下するかわかりません。「もし自分が認知症になって、お金の管理ができなくなったら?」「入院や介護の手続きを誰にお願いすればいいの?」そんな不安を抱える方もいるかもしれません。

任意後見契約を結んでおけば、あなたが判断能力を失ってしまった後でも、あなたが選んだ信頼できる人が、あなたの意思を尊重しながら、あなたの生活や財産を守ってくれます。

任意後見契約で頼めること(例)

  • 預貯金や不動産などの財産管理
  • 年金や保険の手続き
  • 医療や介護に関する契約
  • 施設への入所手続き
  • 日常生活に必要な買い物

任意後見契約のポイント

  • 自分で選べる: 誰に後見人になってもらうかを自分で選べます。
  • 内容を決められる: どのような支援をしてもらうかを、あらかじめ自分で決めておくことができます。
  • 安心感: 将来に対する不安を軽減し、安心して生活を送ることができます。
  • 公正証書: 任意後見契約は、必ず公証役場で公正証書を作成する必要があります。

任意後見契約と法定後見の違い

任意後見契約とよく似た制度に、「法定後見(ほうていこうけん)」というものがあります。どちらも判断能力が不十分になった方を支援する制度ですが、いくつかの重要な違いがあります。

項目任意後見契約法定後見
契約を結ぶ時期判断能力がまだ十分にある元気なうち判断能力がすでに不十分になってしまった後
後見人を選ぶ人本人家庭裁判所
支援内容本人が契約で決める家庭裁判所が本人の状況に合わせて決める
開始のタイミング家庭裁判所の後見開始の審判家庭裁判所の後見開始の審判
手続き公証役場で公正証書を作成家庭裁判所への申し立てが必要

どちらを選ぶ?

  • 「任意後見契約」は、将来の備えとして、自分で後見人を選びたい、支援内容を自分で決めたいという方に向いています。元気なうちに準備しておくことで、より自分の希望に沿った支援を受けることができます。
  • 「法定後見」は、**すでに判断能力が不十分になってしまい、自分で契約を結ぶことが難しい場合に利用される制度です。

どちらの制度がご自身にとって適切かは、状況によって異なります。もし迷われる場合は、弁護士や司法書士などの専門家に相談してみることをお勧めします。

まとめ

今回は、「委任契約」「死後事務委任契約」「遺言執行契約」「任意後見契約」という4つの契約について解説しました。

  • 委任契約: 今の困ったことを誰かに「お願い!」する契約
  • 死後事務委任契約: 亡くなった後の手続きを託す安心の契約
  • 遺言執行契約: 遺言の内容を確実に実現するための契約
  • 任意後見契約: 将来、判断能力が低下した時のための安心の契約(法定後見との違いも理解しておきましょう)

これらの契約は、あなたの人生の様々な場面で、あなたやあなたの大切な人を守ってくれる力強い味方となります。

「まだ自分には関係ない」と思われた方もいるかもしれませんが、備えあれば憂いなしです。もし少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。私たち専門家が、あなたの不安を解消し、安心してこれからの人生を送るためのお手伝いをさせていただきます。