エンディングノートを、いざ書き始めようと思っても、何から手を付ければ良いのか戸惑う方もいるかもしれません。ここでは、エンディングノートをスムーズに書き進めるためのステップと、最初に書いておくと良い項目を、項目順に説明します。
エンディングノートをスムーズに書き進めるための5つのステップ
エンディングノートは、一度に全てを書き上げる必要はありません。焦らず、ご自身のペースで少しずつ書き進めていくことが大切です。以下のステップを参考に、無理なくエンディングノート作成に取り組んでみましょう。
ステップ1:エンディングノートを選ぶ
まず、ご自身に合ったエンディングノートを選びましょう。前回の記事でご紹介したように、ノートタイプ、デジタルタイプ、差し替え式など様々な種類があります。
- ノートタイプ: 手軽に始められ、直接書き込むことができます。
- デジタルタイプ: 情報の修正や更新が容易で、写真や動画なども保存できます。
- 差し替え式: 必要な項目だけを選んで使え、情報の整理や追加がしやすいのが特徴です。
ご自身のライフスタイルや希望に合わせて、使いやすいエンディングノートを選びましょう。練馬区にお住まいの方であれば、無償頒布されている「私の生き方ノート」のPDF版を印刷して、A4ファイリングノートに綴じて差し替え式として活用する方法も経済的でおすすめです。いちばんオススメの「これからノート」を入手する
ステップ2:全体像を把握する
選んだエンディングノートの項目全体をざっと確認しましょう。どのような情報を記録できるのかを把握することで、自分が何を書きたいのか、何を残したいのかを具体的にイメージすることができます。
ステップ3:最初に書くべき項目から着手する
全ての項目を順番に書く必要はありません。比較的書きやすい項目や、緊急性の高い情報から書き始めるのがおすすめです。後述する「最初に書いておくと良い項目」を参考に、取り組みやすい部分からスタートしましょう。
ステップ4:少しずつ書き進め、定期的に見直す
一度に完璧なものを書こうとせず、少しずつ時間をかけて書き進めましょう。日々の出来事や気持ちの変化に合わせて、内容を追記したり修正したりすることも大切です。年に数回など、定期的にエンディングノートを見返し、最新の情報に更新するように心がけましょう。
ステップ5:保管場所と伝える相手を決めておく
エンディングノートが完成したら、誰に、いつ、どのように伝えるのかを考えておきましょう。保管場所も、家族が見つけやすい場所を選ぶことが重要です。信頼できる人に、エンディングノートの存在と保管場所を伝えておくと安心です。
最初に書いておくと良い項目(項目順)
エンディングノートの中で、比較的早い段階で書いておくと良い項目を、一般的な項目順に沿ってご紹介します。これらの項目は、もしもの時にすぐに必要となる情報や、あなたの基本的な情報を伝える上で重要となります。
1. 基本情報
- 氏名(ふりがな): 正式な氏名を記載します。
- 生年月日: 正確な生年月日を記載します。
- 現住所: 現在の住所を記載します。
- 本籍地: 戸籍上の本籍地を記載します。
- 連絡先: 自宅の電話番号、携帯電話番号、メールアドレスなどを記載します。
- マイナンバー: 必要となる場合に備えて記載しておくと良いでしょう。取り扱いには十分注意してください。
- 健康保険証、介護保険証などの情報: 保険の種類、記号・番号などを記載しておくと、医療機関での手続きがスムーズになります。
最初に書く理由: これらの情報は、あなたの身元を証明し、緊急時の連絡や手続きに不可欠な基本情報です。
2. 連絡先
- 親族の連絡先: 配偶者、子供、親、兄弟姉妹など、連絡を取ってほしい親族の氏名、続柄、住所、電話番号、メールアドレスなどを記載します。
- 友人の連絡先: 親しい友人の連絡先も記載しておくと、もしもの時に連絡を取ってもらえる可能性があります。
- かかりつけ医の連絡先: 病院名、医師名、電話番号などを記載します。
- その他関係者の連絡先: 弁護士、税理士、ケアマネージャーなど、必要に応じて連絡してほしい関係者の情報を記載します。
最初に書く理由: 緊急時に、あなたの状況を関係者に迅速に伝えるために重要な情報です。
3. 医療・介護に関する希望
- 延命治療について: 延命治療を希望するかどうか、どのような治療を受けたいかなど、具体的な希望を記載します。
- 告知について: 病状や余命について、本人に告知してほしいか、家族にのみ伝えてほしいかなどの希望を記載します。
- 介護について: どのような介護を受けたいか、希望する介護施設などがあれば記載します。
- 臓器提供の意思: 臓器提供の意思がある場合は、その旨を明確に記載し、意思表示カードの保管場所なども記載しておくと良いでしょう。
最初に書く理由: これらの希望は、あなたの尊厳ある最期を迎えるために非常に重要な情報です。意識不明になった場合などに、あなたの意思を尊重してもらうために、早めに記載しておきましょう。
4. 財産に関する情報(概要)
- 預貯金: 銀行名、支店名、口座番号などを記載します。通帳やキャッシュカードの保管場所も記載しておくと良いでしょう。
- 保険: 保険会社名、保険の種類、証券番号などを記載します。保険証書の保管場所も記載しておきましょう。
- 不動産: 所在地、権利書などの保管場所を記載します。
- 有価証券: 証券会社名、口座番号などを記載します。
- その他財産: 貴金属、自動車、会員権など、重要な財産があれば記載し、保管場所も明記しておきましょう。
最初に書く理由: これらの情報は、相続手続きをスムーズに進めるために不可欠です。詳細な情報は後から追記するとしても、まずは概要を把握できるように記載しておきましょう。
5. デジタル情報
- パソコン、スマートフォンのパスワード: これらの機器にアクセスするためのパスワードを記載しておくと、必要な情報を取り出すことができます。
- SNSアカウント情報: 各SNSのアカウント名、ID、パスワードなどを記載しておくと、アカウントの整理や管理を家族に依頼できます。
- その他重要なウェブサイトのID・パスワード: オンラインバンキング、証券取引サイト、クラウドストレージなどの重要なウェブサイトのIDとパスワードを記載しておくと、手続きがスムーズになります。
最初に書く理由: デジタル遺品は、故人の大切な情報や思い出が詰まっている場合があります。アクセス情報を残しておくことで、家族が適切に管理・整理することができます。
その他の項目
上記以外にも、エンディングノートには以下のような項目を記載することができます。これらの項目は、ご自身のペースに合わせて、少しずつ書き進めていきましょう。
- 葬儀・埋葬に関する希望: 葬儀の形式、規模、希望する斎場、宗派、埋葬方法、お墓の場所など。
- 遺言について: 遺言書の有無、保管場所など。
- ペットについて: 飼っているペットの世話に関する希望、預け先など。
- 趣味や любимые вещи について: 大切にしているものや、家族に受け継いでほしいものなど。
- 感謝の気持ちやメッセージ: 家族や友人など、大切な人への感謝の気持ちやメッセージ。
- 人生の振り返り: これまでの人生で大切にしてきたこと、思い出などを記録する。
まとめ:焦らず、自分らしいエンディングノートを
エンディングノートは、あなたの人生の集大成であり、大切な人への最後のメッセージです。今回ご紹介した書き進め方や最初に書くべき項目を参考に、焦らず、ご自身のペースで少しずつ書き進めていきましょう。
練馬区の「私の生き方ノート」のように、無料で利用できるエンディングノートを活用するのも良い方法です。PDF版を印刷してファイリングすれば、差し替え式としても使え、情報の追加や整理も簡単です。
最後になりましたが、エンディングノートは誰に託すかが最も重要です。 エンディングノートに書かれた内容を実行してくれる人がいなければ、その役割は果たせません。信頼できる家族、親族、友人がいれば大丈夫です。もし誰も頼ることができないときは、私たちのような専門機関に託すことを検討しましょう。