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任意後見契約、遺言執行、死後事務委任契約における利益相反について

終活を考える上で、「もしもの時」に備えることは非常に重要です。任意後見契約、遺言執行、そして死後事務委任契約は、ご自身の意思を尊重し、大切な財産や身の回りのことに関する事務を託すための有効な手段です。しかし、これらの契約において「利益相反」という問題が生じる可能性があり、注意が必要です。

利益相反とは?

利益相反とは、ある人物が二つ以上の異なる立場を兼ねることで、それぞれの立場で追求する利益が対立し、いずれか一方の利益を優先するともう一方の利益を損なう可能性がある状況を指します。

各契約における利益相反の可能性

1. 任意後見契約と遺言執行

任意後見契約は、ご自身の判断能力が低下した場合に備え、あらかじめ選んだ任意後見人に財産管理や身上監護に関する事務を委任する契約です。一方、遺言執行は、ご自身の死後に遺言の内容を実現するための手続きです。

もし、任意後見人がご自身の死後に遺言執行者となる場合、以下のような利益相反が生じる可能性があります。

  • 財産管理の便宜性: 任意後見人としてご自身の財産を管理していた者が、そのまま遺言執行者となると、自身の管理の便宜のために、必ずしもご本人の最終的な意思に沿わない形で財産を処分・管理してしまうリスクが考えられます。
  • 遺産分割への影響: 遺言執行者は、相続人全体の利益を考慮し、遺言に基づいて遺産を適切に分配する義務があります。しかし、もし任意後見人が相続人の一人でもある場合、自己の相続分を有利にするために、他の相続人の利益を損なう形で遺産分割を進めてしまう可能性も否定できません。

2. 任意後見契約と死後事務委任契約

死後事務委任契約は、ご自身の死後の葬儀や納骨、行政への届け出、家財整理など、多岐にわたる事務を特定の人物に委任する契約です。

任意後見人が死後事務受任者も兼ねる場合、以下のような利益相反の可能性が考えられます。

  • 生前の財産処分と死後事務費用の関連: 任意後見人は、ご本人の生前の財産管理を行います。もし、死後事務に多額の費用がかかる見込みがある場合、生前の財産処分において、死後事務費用を確保するために、必ずしもご本人の生前の生活の質を最大限に考慮しない形で財産を管理してしまう可能性もゼロではありません。
  • 費用の透明性: 任意後見人として管理していた財産から、死後事務の費用が支出される場合、その費用の使途や金額の透明性を確保することが重要です。自己が後見人であり、かつ死後事務の受任者でもある場合、費用の適正性を客観的に判断することが難しくなる可能性があります。

3. 遺言執行と死後事務委任契約

遺言執行と死後事務委任契約は、どちらもご自身の死後の事務に関するものですが、それぞれ目的が異なります。遺言執行は財産に関する法律的な手続きが中心であるのに対し、死後事務委任はより広範な身の回りの事務を含みます。

両者を同一人物が担当する場合、以下のような利益相反が生じる可能性があります。

  • 事務の優先順位: 遺言執行と死後事務の双方に時間的・経済的なリソースが必要となる場合、どちらの事務を優先するかによって、結果的に一方の事務がおろそかになる可能性があります。
  • 費用の配分: 遺言執行費用と死後事務費用がご本人の財産から支出される場合、それぞれの費用の配分において、自己の便宜を図ってしまう可能性も考えられます。

なぜ、一般社団法人ねりま終活身元保証センターは後見人にならないのか

上記でご説明したような利益相反のリスクを回避し、ご依頼者様にとって常に最善の利益を提供するため、一般社団法人ねりま終活身元保証センターでは、任意後見人、法定後見人として就任することはございません。

これは、ご依頼者様の財産管理や身上監護といった重要な役割を担う後見人と、遺言執行や死後事務といった別の役割を同一の団体が担うことで生じる可能性のある、あらゆる利益相反を未然に防ぐための方針です。

当センターは、ご依頼者様の終活を多角的にサポートする中で、常に中立かつ公正な立場を保ち、ご依頼者様ご自身の意思が最大限に尊重されるよう尽力いたします。

まとめ

任意後見契約、遺言執行、死後事務委任契約は、ご自身の将来や大切な方々への配慮を示す重要な契約です。これらの契約を検討される際には、信頼できる専門家にご相談いただき、それぞれの契約内容や利益相反のリスクについて十分な理解を深めることが重要です。

一般社団法人ねりま終活身元保証センターは、後見人としての役割は担いませんが、ご依頼者様の終活全般に関するご相談を承り、安心して「もしも」に備えられるよう、最適なサポートをご提案いたします。お気軽にご相談ください。