はじめに
高齢化が進む現代において、離れて暮らす親御さんや、日中一人で過ごす高齢のご家族の安否確認は、多くの方にとって大きな関心事となっています。「毎日連絡するのは難しい」「何かあった時にすぐに気づいてあげたい」といった不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこで役立つのが「見守り・安否確認サービス」です。しかし、数多くのサービスが存在するため、どれを選べば良いのか迷ってしまう方も少なくありません。この記事では、見守り・安否確認サービスの種類から、ご家庭に合ったサービスの選び方まで、専門的な視点も交えながら詳しく解説します。
見守り・安否確認サービスとは?
見守り・安否確認サービスとは、高齢者や障がいを持つ方が安全に日常生活を送れているかを確認し、異変があった際に家族や専門機関に通知するサービスです。主に以下のような目的で利用されます。
- 異変の早期発見: 転倒、急病、体調悪化などの異変を早期に察知し、迅速な対応につなげる。
- 孤独死の防止: 長時間連絡が取れない状況を回避し、孤独死のリスクを低減する。
- 家族の安心感: 離れて暮らす家族が、見守られていることで安心して生活を送れるようにする。
- 生活リズムの把握: 日常生活のパターンを把握し、いつもと違う行動がないかを確認する。
見守り・安否確認サービスの種類
見守り・安否確認サービスは、その仕組みや提供形態によって大きく以下の種類に分けられます。
1. センサー型見守りサービス
生活空間に設置された各種センサー(人感センサー、開閉センサー、温湿度センサーなど)が、居住者の動きや生活リズムを感知し、異常があった場合に通知するサービスです。
- メリット: 居住者に負担をかけずに見守りが可能。プライバシーへの配慮が高い。
- デメリット: センサーの設置場所によっては、検知漏れが生じる可能性も。
2. カメラ型見守りサービス
屋内にカメラを設置し、遠隔で居住者の様子を確認できるサービスです。音声通話機能を備えているものもあります。
- メリット: リアルタイムで視覚的に状況を確認できる。双方向のコミュニケーションが可能な場合も。
- デメリット: プライバシーの問題に配慮が必要。居住者の同意が不可欠。
3. 緊急通報サービス
緊急通報装置(ペンダント型、据え置き型など)を身につけたり、手の届く場所に設置したりすることで、体調不良時や緊急時にボタン一つでオペレーターや家族に連絡できるサービスです。
- メリット: 緊急時に迅速な対応が可能。
- デメリット: 居住者自身がボタンを押す必要があるため、意識不明時などには対応できない。
4. 生活リズム見守りサービス(家電連携型)
スマート家電(冷蔵庫、電子レンジ、電気ポットなど)の利用状況や、スマートフォンの使用状況から、普段と異なる生活リズムを検知し、家族に通知するサービスです。
- メリット: 日常生活に溶け込みやすく、自然な形で見守りができる。
- デメリット: 家電の利用頻度や、居住者の生活スタイルによっては、正確な判断が難しい場合も。
5. 訪問・声かけサービス
地域の協力員や専門スタッフが定期的に自宅を訪問し、安否確認や簡単な会話を行うサービスです。
- メリット: 人と人との触れ合いがあり、精神的な安心感にもつながる。異変を直接確認できる。
- デメリット: 訪問頻度が限られる場合がある。人件費がかかるため、費用が高くなる傾向。
見守り・安否確認サービスの選び方7つのポイント
数あるサービスの中から、ご家庭に最適なものを選ぶためには、以下のポイントを考慮することが重要です。
1. 見守る方の状況・ニーズ
- 介護度: 自立度が高いのか、介助が必要な場面が多いのか。
- 生活習慣: 外出が多いのか、在宅時間が多いのか。
- 体の状態: 認知症の有無、転倒のリスク、持病など。
- 本人の意思: 見守りされることへの抵抗感はないか。プライバシーへの配慮は必要か。
2. サービスの種類と機能
前述のサービスの種類から、見守る方の状況に合ったものを選びましょう。
- 緊急時の対応: 緊急通報機能の有無、オペレーター連携、駆けつけサービスの有無などを確認しましょう。
- 通知方法: 電話、メール、アプリなど、どのような方法で通知が来るかを確認しましょう。家族がすぐに気づける方法を選ぶことが重要です。
- プライバシーへの配慮: カメラ型の場合は、本人の同意と設置場所の検討が不可欠です。
3. 費用
月額料金、初期費用、機器代金など、トータルでかかる費用を把握しましょう。複数のサービスを比較検討し、予算に合ったものを選びましょう。
4. サポート体制
- 緊急時の連絡先: 24時間365日対応か、夜間や休日の対応はどうなっているか。
- 機器のトラブル対応: 故障時の修理や交換、設定変更などのサポート体制は充実しているか。
- 相談窓口: サービス利用に関する疑問や不安を相談できる窓口があるか。
- サービスの継続性:すでに新規受付を終了しているサービスもあります。事業の継続性もポイントです。
5. 操作のしやすさ
見守る方が直接操作する機器がある場合(緊急通報装置など)は、簡単で分かりやすい操作性かを確認しましょう。複雑な操作が必要なものは、継続して利用することが難しくなる可能性があります。
6. 契約期間・解約条件
最低利用期間や解約時の違約金など、契約条件を事前に確認しておきましょう。
7. 連携サービス
地域包括支援センターや医療機関、介護サービス事業者など、他の機関との連携が可能かどうかも確認ポイントです。連携により、より包括的なサポートを受けられる場合があります。
まとめ
見守り・安否確認サービスは、大切なご家族の安全と安心を守るための有効な手段です。種類や機能、費用、サポート体制など、様々な要素を比較検討し、見守る方の状況やご家族のニーズに最も適したサービスを選ぶことが大切です。
後悔しないサービス選びのために、まずは複数のサービスを比較検討することをおすすめします。
見守りサービス9選
神奈川県「高齢者見守りサービス提供事業者一覧」 に掲載されている51サービスすべてを比較検討し、①事業主体が大手でありサービスの継続性が見込まれるもの、②無料など手軽なものを計9サービスを厳選しました。
・大手事業者が実施しているもの
「HOMEALSOKみまもりサポート」ALSOK
初期費用ゼロ月額3,069円~初期費用70,565円月額1,870円まで三種のプラン。かけつけサービス、ライフリズム見守りサービスなど、いくつかのオプションもあり、かつ警備会社大手ならでは安心感があります。
高齢者見守り(みまもり)サービス|HOME ALSOK みまもりサポート
「みまもりハピネス」セントラル警備保障(株)
初期費用ゼロ月額4,180円~。緊急通報サービスとライフリズム見守りサービスを組み合わせ。警備会社ならではのかけつけサービスもあります。
シニア向け見守りサービス【見守りハピネス】 | セントラル警備保障
「郵便局のみまもりサービス」日本郵便(株)
月額2,500円で月1回郵便局員が訪問してくれます。毎日電話で体調確認する「みまもりでんわサービス」との組み合わせも可能。日本全国を網羅している郵便局ならでは安心感があります。
郵便局のみまもりサービス(高齢者見守り) – 日本郵便
「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」ヤマト運輸(株)
初期費用ゼロ、月額1,738円。電球を指定のものと交換するだけ。電球のON/OFFが確認できないときは通知があり、通知先からの依頼でヤマト運輸のスタッフが訪問確認してくれます。
「クロネコ見守りサービスハローライト訪問プラン」 | ヤマト運輸 クロネコ見守りサービス申込サイト
「セコム・ホームセキュリティ(親の見守りプラン)」セコム(株)
警備会社最大手セコムの見守りプラン。月額5,060円からと比較的高額ですが、設置される機器センサー類はもっとも充実しています。
セコム・ホームセキュリティ(親の見守りプラン)|セコム
「かんたん見守りプラグ」KDDI(株)
人感センサー、温湿度計、照度計、電力計の4つのセンサー機能があるプラグをコンセントに佐須だけ。機器代金8,800円、月額539円とランニングコストが安いことも魅力。
「かんたん見守りプラグ」|au|
高齢者見守りサービス「まもりこ」合同会社ネコリコ
毎日使う冷蔵庫に13,200円(amazon等で購入可能)のセンサーを設置し、扉の開閉がなければ通知されるサービス。月額550円と費用も手頃。運営会社は、中部電力(株)とIT大手(株)インターネットイニシアティブが共同出資。
まもりこ 高齢者みまもりサービス | あなたに代わり、そっとみまもるおまもりです
・大手事業者が実施しているもの
「LINEの見守りサービス」特定非営利活動法人エンリッチ
月額無料。毎日LINEに届く通知をタップしなければ、直接電話連絡があり、それでも応答がない場合は、登録した緊急連絡先に連絡が届く仕組み。スマホがあれば、無料で手軽につかえる。
サービス紹介 LINEで安否確認ならエンリッチ見守りサービス
「元気かな~家族をつなげる見守り歩数計」CAT Techs
歩数や位置情報を共有する専用アプリを使用した無料サービス。登録者の歩数が増えていない=体調がよくない? ことを気が付くことができる。
見守りアプリ | CAT Techs
参考文献
- 神奈川県「高齢者見守りサービス提供事業者一覧」 https://www.pref.kanagawa.jp/documents/25828/kigyouitiran_a3tate.pdf