無料相談はこちら

賃貸住宅フェアで見つけた給水管問題の新解決策!?


先日、東京ビッグサイトで開催された「賃貸住宅フェア」と「リフォーム産業フェア」に行ってきました。毎年この時期に開催されており、時間を見つけては足を運ぶようにしています。 賃貸住宅やリフォーム業界の最新トレンド新しい工法・建材に触れられる貴重な機会です。

これまでは「大家」や「不動産業者」としての視点で見ていましたが、今回はマンション管理士としての視点ももって参加したことで、とある工法に目が留まりました。

自治体などでマンション管理に関する相談を受けていると、古い建物のマンション管理組合関係者の方々から何度も質問されるのが「劣化した給水管の更新問題」です。給水管の更新には1戸あたり100万円〜150万円という高額な費用がかかることが多く、ポンと払うことができるほど修繕積立金に余裕のある管理組合は少ないのが現状です。そんな悩みを解決できるかもしれないのが、今回見つけた横浜のT.K.Kエボリューション(株)という会社がてがけている「配管マグネタイト工法」でした。

配管マグネタイト工法 | 配管劣化対策・赤錆・赤水対策・スケール除去対策 – TKKエボリューション

配管マグネタイト工法とは?

配管マグネタイト工法は、磁気処理した水を配管内に流すことで、鉄管の内部にマグネタイト皮膜を形成させ、赤サビの発生を防ぐ工法です。この皮膜がバリアとなり、水の着色や腐食を防いでくれます。しかもうたい文句では、効果は「半永久的!」だというのです。


配管マグネタイト工法のメリット

  • 低コスト:給水管更新工事の約20分の1の費用で施工できます。マンション全体の費用を大幅に削減できます。
  • 短工期:工事期間が数日から1週間程度と短く、居住者の負担が少ないです。
  • 無断水施工:水を止めることなく施工できるケースが多く、生活への影響がほとんどありません。
  • 給水管の延命効果:既存の給水管を保護するため、寿命を延ばすことができます。

配管マグネタイト工法のデメリット

  • 穴が開いた配管には適用できない:この工法はあくまで予防策です。すでに配管に穴が開いている、または腐食が激しい場合は更新工事を検討すべきかもしれません。
  • 効果の継続期間に注意が必要:マグネタイト皮膜の耐久性は、水質や配管の状態によって異なります。効果の継続期間がどのくらいになるのか? パンフレットでは半永久的とされていましたが……。
  • すべての配管に適用できるわけではない:塩ビ管など、鉄管以外の配管には効果がないようです。
  • マンション管理計画認定制度では評価されない:国土交通省の「マンション管理計画認定制度」では、給水管の更新工事は評価対象となりますが、この工法のような延命工法は評価対象外です。将来的に認定取得を検討している場合は、この点を考慮する必要があります。

まとめ

配管マグネタイト工法は、給水管の劣化が初期段階のマンションにとって、コストと工期を大幅に抑えられる優れた選択肢になりえます。なにより更新工事の費用が捻出できないが、古い鋼管の水道管の更新工事をしなければならない築40ー50年のマンションにとっては、夢のようの工法です。

しかし、配管の状態によっては施工できない場合(そもそも赤さびを黒さびに変化させることから、鋼管にしか効果が見込めません)や、国が推進する管理計画認定制度の評価対象とならない点も理解しておくべき重要なポイントです。

給水管更新工事が「老朽化が末期に達した場合の最終手段」であるのに対し、マグネタイト工法は「その手前の予防策」として有効かもしれません(メーカーの方の説明では、漏水は止められないがそれ以外には効果があると行っていました)。なかなか理解が追いついていない点も多いため、もう少し詳しく知る必要があると思います。

とにかく、それぞれの工法の特性を理解し、マンションの状況に応じた最適な選択をすることが、賢いマンション管理の第一歩と言えるでしょう。