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【重要】あなたのマンション規約は大丈夫? 令和7年標準管理規約改正と、管理規約を今すぐ改定すべき理由

2025年(令和7年)10月17日に国土交通省から「改正標準管理規約」が公表されました 。主な改正点は先日の記事に書きましたが、マンションの管理・再生の円滑化を目指す「マンション関係法(マンション4法)」の改正に基づいたもので、従来に増して大幅な改定となっています 。

この法改正は、全国の管理組合にとって非常に重要です。なぜなら、区分所有法改正の一部は「強行規定」として、管理規約を改正しなくても自動的に適用されるからです 。しかし、あなたのマンションの規約が古いままでは、さまざまな混乱や不利益が生じる恐れがあります。

ここでは、個別のマンションが管理規約を新標準規約に合わせて改定すべき理由と、そのメリットを解説します。


1. 法改正に伴う「強行規定」による混乱を避けるため

区分所有法の改正は令和8年4月1日に施行されます

⚠️ 旧規約の条文が「失効」する

改正区分所有法に抵触する現行の管理規約の条文は、施行の時点で効力を失います

例えば、総会決議のルールが以下のように変更されます。

  • 総会成立要件:旧規約の「議決権総数の半数以上」から「議決権総数の過半数」に出席要件が変更されます(規約第47条第1項) 。
  • 特別決議の定足数:特別多数決議(規約の改正など)を行う総会に、新たに「組合員総数および議決権総数の過半数」の出席が必須となります(規約第47条第3項) 。
  • 決議要件の変更:特別多数決議(規約の改正など)が、旧規約の「組合員、議決権とも分母が『総数』」から、「出席者の多数決」(出席組合員及び議決権の各4分の3以上)による決議に変わります(規約第47条第3項) 。

これらの「強行規定」に抵触する事項は、たとえ規約を改定しなくても新しい区分所有法に従わなければなりませんが 、規約が改定されないと「旧規定がまだ有効だ」と誤解されてしまいがちです 。よく理解していない組合員がいると、総会での決議の際に不要な混乱を招く恐れがあります 。


2. マンションの資産価値の低下を防ぐため

管理規約を改正せずに古いままにしておくと、外部から見て「マンションが管理不全である」と見なされる可能性があります。実際、マンション管理計画認定制度やマンション管理適正化診断では、管理規約が新しいものに改訂されていないと、点数が低くなったりします…… 。

  • 中古市場において、管理体制が旧態依然としているという評価は、将来の買い手や投資家にとって不安要素となり、資産価値の低下を招く恐れがあります 。
  • 法改正を適切に反映した規約は、管理組合が法令遵守と時代への適応能力を持っていることの証明となり、安心感につながります。

3. 現代の課題に対応した管理運営を可能にするため

新標準規約には、現代のマンションが直面する課題に対応するための、多くの「推奨」される規定が盛り込まれるようになりました 。

3.1. 所有者不明化・管理不全への対応

  • 国内管理人制度:海外等にいる区分所有者の代理人を定める「国内管理人」を新設します(規約第2条第十三号、第31条の3) 。
  • 管理不全への対応所在等不明区分所有者の総会の決議等からの除外や、所有者不明専有部分管理人、管理不全専有部分管理人の新設など、管理組合が裁判所に請求する条項が追加されました(規約第67条の3、第67条の4、第67条の5) 。
    • これらの規定は、実際にこれらの問題に直面している管理組合では特に必要とされているものです 。古めの大規模マンションだと切実な問題になっているところも多いですよね。

3.2. 老朽化対策と大規模修繕の円滑化

  • 修繕積立金の使途を明確化:マンション再生の調査・設計、修繕積立金の管理運用、および建物の性能・機能を向上させる「改良」工事にも修繕積立金を充当できることを明確化します(規約第28条第1項・第2項) 。これにより、将来の建替えや大規模修繕に向けた資金計画が立てやすくなります。
  • バリアフリー化の促進:敷地および共用部分等の瑕疵の除去やバリアフリー化を目的とした共用部分の変更決議の要件が「出席組合員及び議決権の各3分の2」に緩和されます(規約第47条第4項) 。

3.3. 役員運営と居住者間のルール整備

  • 役員の適格性確認:管理組合の意思決定に関わる役員の欠格条項本人確認の見直しが図られます(規約第35条コメント・第55条コメント) 。
  • 理事の負担軽減:理事に事故があった場合の「理事の職務代行者」を定める規定の考え方が整備されました(規約第35条コメント・第53条コメント) 。
  • 喫煙ルールの例示:喫煙場所、遵守事項、違反への罰則、マナー等の考え方を使用細則に定める例として追加しました(規約第18条コメント) 。

4. まとめ:改定は混乱回避と未来への投資

管理規約の改定は、手間のかかる作業ですが、令和8年4月1日の法改正施行までに着手することで、法的な混乱を避け、将来の管理不全リスクを低減し、マンションの資産価値を守るための未来への投資となります。

総会の招集手続きの時期によって、規約改正の要件(旧法か新法か)が変わるため(パターン1またはパターン2) 、まずは、マンション管理の専門家であるマンション管理士等に相談し、適切な手順と時期で改定を進めることを強くお勧めします